- 2026年4月20日、東京23区・武蔵野市・三鷹市のタクシー運賃が改定された
- 改定率(所要増収率)は10.14%。 同じ営業条件なら、運送収入を従来より増やしやすくするための改定
- 初乗り500円は据え置き。 ただし初乗り距離、100円の加算距離、低速時の時間加算がすべて短くなった
- 初乗り金額は変わらないが、距離と時間の刻みが短くなった。 同じ営業でもメーターが上がりやすい
- 改定率10.14%は売上改善の材料。 ただし収入は月営収、歩合率、乗務回数で変わる
- 平均年収だけで判断しない。 稼働を抑える高齢ドライバーも混ざるため、自分の営業条件で見る
2026年4月20日、東京のタクシー運賃が改定
2026年4月20日、東京都特別区・武三地区のタクシー運賃が改定されました。
対象地域は次のとおりです。
- 東京23区
- 武蔵野市
- 三鷹市
関東運輸局が公表した今回の**改定率(所要増収率)は10.14%**です。
初乗りの金額は500円のままですが、500円で走れる距離と、その後100円が加算されるまでの距離・時間が短縮されました。同じ距離・同じ所要時間の乗車で比較すると、以前よりメーターが上がりやすい仕組みです。
普通車の上限運賃はこう変わった
| 項目 | 改定前 | 2026年4月20日以降 |
|---|---|---|
| 初乗り運賃 | 1.096kmまで500円 | 1.0kmまで500円 |
| 距離加算 | 255mごとに100円 | 232mごとに100円 |
| 時間加算 | 1分35秒ごとに100円 | 1分25秒ごとに100円 |
時間加算は、時速10km以下で走行した時間を距離に換算して加算する「時間距離併用制」の基準です。
渋滞、信号待ち、乗降の多い都心部など、低速で走る時間が長い営業では、改定前より短い間隔で100円が加算されます。
この表は普通車の公定幅運賃のうち上限運賃を比較したものです。事業者は国が公示する運賃幅の中から採用運賃を届け出るため、利用する会社の運賃表示も確認してください。
「改定率10.14%」の正確な意味
10.14%は、個々の乗車運賃やドライバーの給料が一律に10.14%上がる、という意味ではありません。
国土交通省は、原価計算の対象となる標準的な30事業者について、運賃改定前の平年度運送収入を約480億9,000万円、改定後を約529億6,800万円と査定しています。その差額を確保するために算定された**所要増収率が10.14%**です。
つまり今回の改定は、地域全体の標準的な事業者が必要な原価と適正利潤を確保できるよう、運送収入を約10.14%増やすことを前提に設計された運賃改定です。
ドライバー目線では、乗車件数・実車距離・営業時間などが同じなら、改定前より売上を上げやすくなります。ただし、実際の売上増加率は次の条件で変わります。
- 乗車距離
- 渋滞や低速走行の時間
- 実車率
- 乗車件数
- 営業時間帯
- 利用者需要
そのため「誰でも売上が必ず10.14%増える」とは断定できません。
なぜ10.14%の改定が必要だったのか
国土交通省の説明では、改定の主な理由は次の3点です。
- 運転士の賃金アップなど、労働環境改善:約7%
- 利用者の利便性を高めるための投資:約2%
- 燃料費高騰への対応:約1%
タクシー事業は人件費の比率が高く、原価計算では改定前の平年度における人件費が費用の約74%を占めています。
運送収入が増えていても、人件費や燃料費などの上昇がそれを上回り、現行運賃では必要な原価をまかなえないと判断されたことが改定の背景です。
ドライバーの売上にはどう影響するか
今回の変更で重要なのは、初乗り500円という金額ではなく、次の100円が加算されるまでの距離と時間が短くなったことです。
初乗り距離が96m短縮
初乗り500円の適用距離は、1.096kmから1.0kmへ短縮されました。
1kmを超えた後は距離加算の対象になるため、改定前より早く次の100円に進みます。
距離加算が23m短縮
100円が加算される距離は、255mから232mへ短縮されました。
中距離・長距離になるほど加算回数が積み重なるため、同じ実車距離でも改定前より運賃が上がりやすくなります。
時間加算が10秒短縮
時速10km以下の時間加算は、1分35秒から1分25秒へ短縮されました。
都心部の渋滞や信号待ちなど、低速走行が多い乗務でも売上へ反映されやすくなっています。
売上増がそのまま給料増になるとは限らない
歩合給の会社では、一般に営収が増えれば給与にも反映されやすくなります。
ただし、給料への反映方法は会社ごとに異なります。
- 歩合率
- 賞与積立の有無
- 足切り基準
- 手数料や乗務員負担
- 給与保証の適用条件
転職時には「改定後の営収がどのように給与へ反映されるか」を、求人票の年収例だけでなく給与規程や賃金明細の計算方法まで確認することが重要です。
まとめ
2026年4月20日の東京特別区・武三地区のタクシー運賃改定では、普通車上限運賃が次のように変わりました。
- 初乗り:500円のまま、1.096kmから1.0kmへ短縮
- 距離加算:100円ごとの距離が255mから232mへ短縮
- 時間加算:100円ごとの時間が1分35秒から1分25秒へ短縮
- 改定率(所要増収率):10.14%
これは、同じ営業条件であれば従来より売上を上げやすくする改定です。一方で、個々のドライバーの売上や給料が自動的に10.14%増えるわけではありません。
運賃改定の恩恵を給与へつなげるには、需要のある時間帯やエリアで実車率を高めることに加え、売上を適切に給与へ還元する会社を選ぶ必要があります。
出典
- 関東運輸局「令和8年4月20日より東京都特別区・武三地区のタクシー運賃が変わります」(2026年3月19日、2026年6月15日確認)
- 国土交通省「東京のタクシー運賃改定について」(2026年1月、2026年6月15日確認)
- 東京ハイヤー・タクシー協会「タクシー運賃の改定について」(2022年11月、改定前運賃の確認に使用)